老舗製麺所である加藤ラーメンの4代目として生を受けた加藤智之さん。いずれ実家に戻ることになるならば一度北海道を出てみたいと考え、大阪の大学へ進学します。「マーケティングや流通について学んでいました。でもそれは家業のことは関係なく、単純に興味があったからです」。1年間のオーストラリア留学なども経験し、加藤さんは充実したキャンパスライフを送っていました。
その後就職先に選んだのは、飲食店の運営から料理学校の経営まで行う大阪の企業。大学で得た知識を生かそうと意気込んでいたのですが、半年間の研修で教わったのはすしの握り方や調理の技術。気が付けば新店舗の料理長になっていました。新入社員だけで運営する店舗だったため積み重ねたノウハウもなく、すべて自分たちだけで0から考えて運営していたと言います。「常連になってもらうために居心地のいい空間を作り、お客様の顔と名前、好みを覚えることを心掛けていました」。もともと3年働いたら旭川に戻ろうと考えていた加藤さんですが、社内事情もあり2年で退職。クラフトビールを提供する知人のバーで働き、前職の経験を生かしながら残りの1年を過ごしました。